普遍文法と生成文法

日経サイエンス20175月号に次のような記事があります。

特集:言語学の新潮流

チョムスキーを超えて:普遍文法は存在しない

子供はみな言葉を自然に覚えて話すようになる。なぜだろうか?人は言語を習得する機構を生まれながらに備えている、つまり普遍的な文法が生得的に組み込まれている、というのが、ノーム・チョムスキーが20世紀半ばに提唱した有名な「普遍文法仮説」だ。彼は普遍文法によってすべての言語を説明できると唱え、言語学に大きな影響を与えた。しかし、この説は実証的な証拠を欠いているために疑問が呈され、実際の言語習得過程を調べた研究に基づく新たな考え方が登場している。「用法基盤モデル」と呼ばれるもので、子供は言語専用ではない一般的な認知能力や他者の意図を理解する能力を用いて言語を習得しているという見方だ。

普遍文法は言語学の生成文法における中心的な概念です。全ての人間が生まれながらに普遍的な言語機能を備えており、全ての言語が普遍的文法で説明できると考える理論です。そのような使い方を学ぶのは有効な言語習得だとされてきましまた。その結果、成人が文法で学ぶのも効果的だと説明されています。

普遍文法は実証的な証拠を欠いていると指摘されるのは遺伝的に継承されるならDNAの中にその情報が存在するはずです。もちろんDNAにはそのような言語知識に関する情報は組み込まれていません。さらに、最大の問題はその言語習得過程を調べても用法基盤ではその用法をどのように学ぶのかの説明が存在しません。

用法基盤モデルではなく事例基盤モデル

学校の教育では言語モデルを文法等の使い方を学ぶ用法基盤モデル(Usage-based Model)と捉えています。用法基盤とは言葉がどう使わるべきかといるルールを知ってそのルールに基づき英語を組み立てる方法です。

使い方を学ぶ用法学習は、言葉には用法が先に存在すると言う考えに基づいています。このルールに基づいて英語を作りそして訳すのが用法基盤モデルです。

用法基盤モデルはチョムスキーの生得説を否定するものです。しかし、事例基盤モデルは生得説だけでなく、使い方を学ぶと言う用法基盤も否定しています。

用法基盤のマルセロの理論は2003年に発行されており、進歩の速い脳科学や認知学のおいては非常に古い文献と言えます。

Tomasello. M (2003) Constructing a language: A usage-based theory of language acquisition.

事例基盤の考えは用法基盤のように使い方を学ぶのではなく、言語の習得は多くの事例をどんどん学ぶと言う考えです。事例は使い方も同時に学ぶもので、多くの事例を覚えるとその事例から類似のパターンが見えてくると言う考えです。

英語の場合に動詞は主語が三人称で単数、そして現在形にはSを付けると言うルールがそれに当たります。このルールを基づき英文を作り出す事ができます。

しかしながら、言語を用法基盤モデルとして捉えるなら、そのルールや使い方をどう学習するのか、そしてどのように適用するかを学習するかの説明ができません。母語の習得においてはその表現をどのような時にどう使うのかは学んでおりません。

大きな間違い

英国で英文法は編纂したのは、英語の基本ではなく乱れてきた英語を標準化のするためでした。

言語の歴史を振り返ると言語は国や憲法のようにある時、急に意図的に作られてものではなく、多くの人が使っている間にだんだん複雑になったものです。ルールなどない状態で使われるようになったのが言語です。英語でも英語文法が編纂されたのは18世紀の後半であり、英語の歴史から見ると非常に後から文書化されています。

しかも、その文法の編纂は言語の基本としてではなく、いろいろな言語の単語や表現が取り入れられ、英語が非常に混乱したために標準化を目的としたものでした。

英語のネイティブが言葉を学ぶ場合に三人称、単数、現在形でSを付いている表現をたくさん覚えます。しかし子供は単数とか現在と言う文法的なルールを知って適用しているのではありません。子供達は使い方を含めた多くの事例を覚えた結果として、多くの事例の中に三人称、単数、現在形でSが付いている事に気付くだけです。

事例基盤モデルでは言語知識は具体的な個別事例に関する詳細で多面的なエピソード記憶から構成されているExemplar(事例)と呼ばれる個別事例の記憶の集まりと捉えています。つまり言語の事例はその使い方も含めてその事例を学習していると考えます。

事例基盤モデル(Exemplar-based Model)とは、脳が言語知識をどのように捉えようとするかのモデルであり、そして心理学的に我々がカテゴリー知識を捉える新しいモデルとして提唱されているものです。

事例基盤モデルは2006 年にThe Linguistic Review 誌で特集され、近年世界中で注目集めている言語モデルです。

人は言語を習得する機構を生まれながらに備えておりません。普遍的な文法が生得的に組み込まれている事はありません。脳は文法のようなルールを学習しているのでもありません

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