日本語と英語の周波数(パスバンド)が違う

日本語と英語の周波数(パスバンド)が違う

次のような英語の周波数の説明があります。

パスバンドのトマティス理論 

言語の音域帯の理論としてトマティス理論があります。音にはいろいろな音があり、人間は11オクターブにおよぶ幅広い音のスペクトル中すべての周波数が誰にでも同じように認知されるわけではなく、”パスバンド”と呼ばれる、言語によって異なる優先的な周波数帯が存在すると考えているトマティス理論です。

トマティス理論では学習に関しては次のように説明しています。
すなわち、言語によって特定の音域が優先的に使われ、他の音域は二次的な形で使われると考えるものです。この耳に影響を与える優先的周波数帯は言語の習得に影響を与えます。すなわちその言語を話す民族によって音の聞こえ方、発声の際のパスバンドは異なります。

ちなみに日本語のパスバンドは125ヘルツから1500ヘルツだと言うのです。
フランス語のパスバンドは1000から2000ヘルツの間であり、英語のパスバンドは2000から12000ヘルツだと言うのです。

日本語と英語との比較
本当にパスバンドに高いとか低いとかがあるのでしょうか。日本語と英語の音英を比較するとき、まず基本周波数(声の高さ、ピッチ)を比較 します。この基本周波数は、人によって個人差が大きいのですが、一般的に日本人 の方が英語ネイティブよりピッチ(声)が高い傾向にあります。
これは「英語リスニング科学的上達法」。(P148~149参照) からのデータで日本語と英語の 母音を比較してみます。

このあたりの詳しい説明については、下記の本が比較的易しく書かれていますので、ご興味のある方は参照下さい。

講談社ブルーバックス 英語リスニング科学的上達法
山田恒夫、足立隆弘、ATR人間情報通信研究所

第1フォルマント周波数(F1)  第2フォルマント周波数(F2)

日本語母音
あ      1.0 kHzあたり      1.2kHzあたり
い      0.4 kHzあたり      2.8kHzあたり
う        0.5 kHzあたり      1.2kHzあたり
え      0.7 kHzあたり      2.0kHzあたり
お      0.7 kHzあたり      1.0kHzあたり

英語母音
A          0.8kHz辺り           1.5kHz辺り
I         0.3 kHz辺り            2.5kHz辺り
U            0.3kHz辺り           0.8kHz辺り
E          0.9kHz辺り           2.0kHz辺り
O          0.6kHz辺り            0.8 kHz辺り

これで見ると、少しの違いはあるとはいうものの、日本語も英語も、母音については、非常に近い周波数域を使用しています。もう一つ、注目して欲しいのは日本語でも結構高い周波数を使用していることです。

日本語の方が基本周波数(声のピッチ)が高く、第1フォルマントと第2フォルマントの使用周波数の高さも十分に高いのです。

子音は本来音としては雑音のようなもので、母音の一時的な逸脱に過ぎません。定常的な周波数をもっていないため計測は不可能です。

大きな間違い

パスバンド(音域帯)の理論の致命的欠陥は次のような事です。
このような周波数測定(パスバンド)には致命的な欠点があります。それでは言語音の周波数を計るとどうなるでしょうか。するとどうも子音の多い英語は周波数が高く計測されるようです。どうもこの数値で高いとか低いとか言っているようです。しかしこれは見掛け上の周波数であって、子音を含む音声を周波数で計測する事は不可能なのです。

これは、音声を音の波の和で計算して、その合計を「周波数」で表現するものです。しかし、音の全てが定常的な周波数でなければ、総和で計測するこの測定法では誤差が出ます。不安定な周波数であれば総和の周波数も不安定になるからです。

言語の無声子音のS、K、F、TH、Tなどの音は定常周波数で測定すると非常に高い周波数が測定されます。その理由は子音は音で言えば、雑音に近いもので、定常周波数がありませんから定常周波数では周波数の高い数値になります。英語の音にはこれらの 音は頻繁に現れるため、平均周波数が日本語より英語の方がはるかに高く計測されるのです。

言語音は周波数で計れない
このように英語の周波数が高いと言うのは誤りです。あらゆる音は周波数を持っていますが人間が発する言語音は大変複雑な波形を示します。声帯が音源である母音はそれでも比較的安定した定常周波数を持っていますが、子音では不規則な雑音のような音が多く周波数で計るとその数値は正しいものでありません。周波数とは定常的な存在でなければ測る事ができないからです。子音の多い言語音を周波数で測定する事が意味のない事なのです。

周波数とは一定時間に周期する数の事で、ある現象が一定の時間をおいて同様に繰り返されるさまを言います。音声認識でいろいろな音を扱うために、よく音声をフーリエ変換して変数を算出しますがあくまでも周波数が一定である各種の音を対象にしております。

人間の音声認識
人間が音声を認識する際には音の周波数ではありません。人間は相対音感で話しておりますので、ある周波数を聞く事は得意ではありません。近代科学により音声認識もかなり解明されてきました。人間は音声の周波数を聞いて認識するのでなく音のストリームの動的変化を分析しているようです。詳しくはフォルマントの時間的な遷移が重要な要素のようです。

つまり言語の音声認識は記憶にある音と聞いた音の特徴を照合しています。英語話者が日本語の「掘った芋をほじるな。」を聞く“What time is it now?”に聞こえるのは、自分の記憶にある音と照合している証拠です。周波数などはほとんど関係ないのです。

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